「祭の男」宮田宣也のブログ/明日がもっとスキになる

今,守るべき,つなぐべきこころって何だろう。祭の男,宮田宣也の祭ライフと,祭哲学について。

祭半纏(はっぴ)が背負っているもの〜ただの衣装だと思ってませんか?〜

 お祭りの際、お神輿を担ぐ際、半纏(はっぴ)を着ますよね?

なんとなく,お祭りの時に着るもの、と言うイメージがあると思いますが,実は半纏(法被)には極めて重要な意味と思いが込められています。

袖を通す時に少しだけ思いを馳せていただけると嬉しいです。

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半纏と法被の違い

 よく,半纏をはっぴと言って怒られたりしますが,そもそも何がどう違うのでしょうか?

その違いを聞いてみても釈然としないことが多いので,調べてみました。

 

 祭衣装には“法被”“半纏”とよばれる衣装がある。現在, 両者はほとんど区別されていないが,ルーツは全く異なる。 “法被”は,幕府が財政難に陥っていた江戸時代中期,下級武士や雑兵が貴重な反物を節約するために“羽織”の代用品としてつくられたのがはじまりである。

一方“半纏”は “法被”がつくられたのとほぼ同時期に,1 反から 2 着つくれる衣服として,庶民の間で広まったといわれている。

このように,本来“法被”は武家関係者,“半纏”は火消しや商人・職人といった庶民が着用するものであった。この 違いは形状にも現れており,“羽織”の代用品としてつくら れた“法被”は,袖の袂がない・胸紐があるなどの特徴がみられる。

一方,“半纏”は,職人が仕事をしやすいように袖丈が短く胸紐がないなど,当初は“法被”と“半纏”は別物 であったのが,江戸時代末期頃には,ほとんど違いが無くな ったといわれている。

「山﨑智子 - 生活環境学研究, 2014 祭礼と祭り衣装」より転用

 

 要するに,ルーツの違いはあれど,現在では「どっちも同じ」ってことですね。

ただし,現在でも関西では「はっぴ」,関東では「はんてん」と呼ぶことの方が多いようです。

すごく正確に言えば,職人や庶民から生まれて来たものなので,祭り衣装として着るものは「半纏」なのでしょう。

実際,都内で鳶さんとかに「はっぴ」と言うと怒られます。気をつけましょう笑

以下,便宜上(僕もそう言っているので)半纏と呼ぶことにします。

半纏の意味

 さて,祭りの際何故半纏を着るのでしょうか?寒いから?

いや,真夏にもだらしなく半纏を着ることは許されません。

暑くて脱ぎたくても,半纏を脱いではいけないのです。(脱いでる人も多いですが)

半纏を着る理由は,主にあなたの身分を保証するためです。

お祭の際,「あなたが何者なのか」は極めて重要であり,また身を守ることにも繋がります。

その半纏は,長い歴史の中で築かれて来た「信用」であり,「仲間」であるしるしなのです。

実際に,祭りの時半纏を来ていない人が紛れ込んで来たりすると容赦無くつまみ出されます。

特に危険を伴うお祭りの場合,そういった異分子は,祭りの存続を危ぶませる事態も引き起こしかねません。

こちらも参照にしてみてください。

nobuya.hatenablog.com

半纏を踏んづけたりしないで

 半纏は,その人たちにとっての看板であり,プライドです。

その信用を一つ一つの祭りで大切に紡いで来て,背中に書いてある紋や文字が,その歴史です。

だから,半纏は新品の色よりも時間が経って色が抜けて来たりほつれてきていた方がカッコいいのです。

特に,他のお祭へ行く時,半纏を借りることがあると思います。

それは,ただ衣装を借りるというのではなく,その人たちが築き上げてきた信用と歴史をお借りする,という意味があります。

だから,例えば座るときも,半纏を直接踏んづけたりしてはいけません(よくじいさんに怒られました)。

そしてその行動は,あなた個人としてではなく半纏を着ている人,として見られています。

半纏を背負った以上,常識のある行動を心がけましょう。

半纏を大切に出来ない人は,お祭りを軽んじている,と思われても仕方ありません。

楽しいお祭りを継続していくには,覚悟と思いが必要なのです。

一年に数回しか着ないこともありますが,その半纏を,仲間たちと大切に守って行くこと。

そこにまた,祭りの美しさがあるのです。