「祭の男」宮田宣也のブログ/明日がもっとスキになる

今,守るべき,つなぐべきこころって何だろう。祭の男,宮田宣也の祭ライフと,祭哲学について。

あなたのステージとワクワクの相関性〜とびっきりの感動はどこに〜

 今年はお祭りを通じてヨーロッパに再度訪問することが出来たり,先日はテレビの収録で有名芸能人と,スタジオでお神輿を担いだり,来月には1300年という節目のお祭りで奈良のお神輿を担がせていただいたりします。

僕はあくまで愚直に祭りを続け,神輿を担ぎ,日々木を刻んでいただけですがこんなにも広がりのある世界へとお祭りは僕を連れて行ってくれます。

それを客観的に見てみると,どうやって世界が広がって行くのかが構造的に理解できるような気がするので,説明してみます。

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・面白い世界は逆三角形となって広がっている

 最近人と話していると,

「一つの事だけしかしない人生はもったいない」

という風潮がある気がしますが,僕は逆に,

「一つの事をし続けない時間はもったいない」

と思います。

それは何故か。今までなんとなくの感覚で捉えていましたが,少し図式化して考えてみますと,ワクワクする世界は逆三角形となって広がっている,という事です。

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 一つの事を一生懸命やって行くと,自分自身のスキルが高まり,さらに経験を積んで行く事で,ステージを上がって行くことが出来ます。

そうすることでワクワクする世界はステージの上昇とともに広がっていき,そこで出会える感動も,出会える人,そして構築できる関係性も質が異なってくるのです。

僕自身で言えば,がむしゃらにただ祭りに参加し,神輿を担いでいた時期と現在ではワクワクの質も量も全然違います。

ただヨーロッパへ友達に会いに行くのと,協力してお神輿を上げ続けていくのでは,出会える人も,作り上げられる関係性も,達成した後の感動も全く質が異なるのです。

・ステージを上がっていくためには

 それではどうやって,自身のステージを効率的に向上し,ワクワクした未来をつかむことが出来るのでしょうか。

そのためには,どんな日常を過ごしていき,どのような行動をとっていくかにかかっていますが,セミナーに行くとか,早起きするとか,そういったテクニカルな話よりも,根本的な原理原則があると僕は思います。

それは,

「目線を上げること」

です。

極真空手の総裁,大山倍達が残した言葉に以下の様なものがあります。

「頭は低く,目は高く,口を慎んで心広く,孝を原点として他を益す」

僕は高校生の頃から空手を始め,一生懸命取り組んでいましたが,ある時,実力が伸び悩んだ時期がありました。

毎日同じ様にサンドバッグを打っても,パフォーマンスが上がらない。

確かに体は疲れるし,練習した満足感を得ることが出来ますが強くなれない。

そんな時,僕は「目線を上げる」という作業が出来ていませんでした。

目線を変えずに練習の内容だけ変化させても,効果を得ることは出来ませんでした。

空手で言う「強くなる」と言う意味は非常に深く捉える必要がありますが,僕は上の図の「自身のステージ」とある意味で同義に捉える事が出来ると思います。

目線を高くし,もっともっと強い人を研究したり,同じ練習をしていても意識する事を変えてみたりしていると,日常が変化して行くことに気付きます。

例えば,ただ歩いているだけでも体の使い方や周りへの意識の配り方などが変わってくる事で時間の質が向上していくのです。

・同じ事でも,ステージによって広がる世界は変わる

 ステージを上がる事なく,つまり自分自身が何も出来ないのに,さらに目線を上げずキョロキョロして何も構築されていかなければ,同じ事をしても,同じ人に出会っても,広がる世界が違います。

それはどうしてか。

例えば,あなたが建築を学ぶ学生だったとしましょう。話を聞くために著名な建築家の方に話を聞きに行けば,あなたは何かしら学ぶことも出来るだろうし,感動する事があるかもしれません。

その時点で起こる出来事は,そこまでです。

目線を上げる事が出来ない人は,明日から自身のスキルを研鑽する事をせず,また違う建築家の所へ行くでしょう。

逆にそこで目線を高くし,もっとステージを向上したいと思えば,明日から必死に自身のスキルを高める事に時間を費やすのです。

しかし,例えばあなたが一流の造園家で,多くの仕事を成し,様々な経験をしていればどうでしょう。

同じ人に会い,同じ場所で同じ様に話したとしても,話に花が開き,お互いが刺激し合い,感動し,また新たな仕事を産んだり,クリエイティブが始まっていくかもしれません。

つまりこれが,ステージの差なのです。

自分自身に価値があれば,同じ時間過ごしていても相手に価値を提供できます。

しかしあなたのステージが低く,何の価値も無ければ相手に価値を提供することは出来ないし,共鳴することも無く感動は生まれないのです。

・僕は愚直に祭りを続けて行く

 祭りを続けて行く事によって,お陰様で様々なお話を頂く様になってきました。海外での神輿の渡御も,テレビの出演,神輿修理や製作のお仕事も少しづつ増えてきています。

しかしどんな事があっても,多分僕はまた明日朝から鉋と鑿の刃を研ぎたいと思うし,木に向かいたいと言う姿勢は変わりません。

もちろんそれが僕の仕事ですから,当たり前のことなのですがそれはとても楽しい事で,木や道具はそれに応えてくれます。

そして,新しいご縁を頂くと,また質の違う出会いや関係性を作り,その先にさらに深い感動を得る事が出来るのです。