宮田宣也のブログ/明日がもっとスキになる

今,守るべき,つなぐべきこころって何だろう。

呪いの渦から1300年,奈良五條,御霊神社に眠る悲劇の怨念〜隠された神輿の封印を解く〜

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先月,奈良の五條市でお祭りがあった。

五条にある御霊神社には,聖武天皇の娘に当たる井上内親王が祀られている。

近くには宮内庁に管理されている墓も。

2017年,井上内親王生誕1300年。

僕らは1000年以上続く日本の歴史のラインをさらに更新しようとしている。

そして御霊神社の拝殿,屋根裏には隠された神輿が二基,あるというのだ。

・霊安寺と御霊神社

五條市は,ちょうど和歌山県との県境にある。

歴史の重要なタイミングで何度も登場する吉野山の麓,和歌山へ向かい吉野川が走っている。

夏から秋にかけ,鮎を釣る釣り人も多い。

五條市には,御霊神社がいくつもあるが,その本宮があるのが,智辯学園高校のほど近く,霊安寺町,という所だ。

霊安寺町,という名前でもわかるが,廃仏毀釈が行われる前,霊安寺と御霊神社は同じ場所にあった。

現在は霊安寺という寺は無くなり,その頃あったとされる鐘などが近所に残っている。

井上内親王他戸親王の死

井上内親王は,奈良の大仏で有名な東大寺を建立した聖武天皇の娘だ。

井上内親王は,日本史の中でも非常にドロドロした呪いと怨念の渦中にいる人であった。

井上内親王の夫は,光仁天皇で,その息子は皇太子他戸(おさべ)親王という。

さらに登場人物は,渡来系の高野新笠という氏族を母に持つ,山部親王(後の桓武天皇)だ。こちらももちろん光仁天皇の子で,さらに早良親王という兄弟もいた。

聖武天皇の直系である井上内親王と皇太子を蹴落とし,藤原百川という人物の暗躍により山部親王天皇にすべく歴史は動いていく。

事件が起こったのは772年の事だ。

続日本紀によると,「時の皇后(井上内親王)は皇太子(他戸親王)と結託し,天皇(夫である光仁天皇)を呪い殺そうとした」

という罪で,皇后の座を下ろされ,さらに皇太子もその座を廃されてしまう。

そこで皇太子の座についたのが山部親王だった。

さらにその後,光仁天皇の姉にあたる難波内親王が死去し,またもや呪いの罪をかけられて井上内親王他戸親王大和国宇智郡,現在の五條市に幽閉されてしまう。

その後,井上内親王他戸親王は日を同じくして奇怪な死を迎える。

井上内親王の呪い

その後,一連の事件の暗躍者藤原百川の死をもって井上内親王のたたりが恐れられる。

一番そのたたりを恐れたのは,陰謀の中で擁立された桓武天皇だ。

続日本紀」にも以下のような記述がある。

*災害が幾度も起こり,宮中でしきりに妖怪が出るため大祓を行い,さらに多数のの僧侶に宮中,朝堂で大般若京を読ませた。

*百川とともに暗躍した宿奈麻呂が死に,その冬雨が降らず宇治川の水まで涸れそうになった

*山部親王が病に伏せた

このようなたたりから逃れるため,墓を作り,平城京から長岡京へ遷都まで行った。

しかし呪いの渦はまだ終わらない。

・日本最強の呪い,早良親王

前出したが早良親王光仁天皇の三男であり,桓武天皇(山部親王)の弟だ。

桓武天皇天皇になると弟である早良親王が皇太子(次期天皇)となった。

しかし桓武天皇は次第に弟ではなく,その息子安殿親王(後の平城天皇)に皇位を継がせようとする。

そこで起きたのが,「藤原種継暗殺事件」だ。

長岡京造営中、指揮を取っていた藤原種継桓武天皇の不在時に馬上で矢に打たれた。

早良親王はその罪を負わされ,淡路島へと流刑されることになったのだが,その処置に抗議するため,絶食し死んでしまった。

そこから,数々のたたりが桓武天皇を襲う。

桓武天皇の妃,早良親王の母(高野新笠),安殿親王の母が次々と亡くなった。

さらに長岡及び機内で天然痘が流行したのだ。

早良親王のたたりには,日本史上最強クラスのたたりだと言われ,桓武天皇はまた遷都を決断する。

そうして遷都されたのが平安京だ。

・御霊大明神

こうした恐ろしい呪いが渦巻く時代に,井上内親王他戸親王早良親王,そして井上内親王が五條に幽閉される時解任していたとされる雷神の四柱を御霊大明神とし,御霊神社に祀られている。

先日僕も参加させてもらったのが,御霊神社本宮の例大祭だ。

その日は同時に五條市にも20数社ある御霊神社のお祭りとなる。

どの神社も,過疎による祭りの衰退が見られるようだった。

・本宮例大祭

本宮の祭りは,数年前から盛り上がり始めたようだ。

特に宝くじ助成金を得て,天平時代の行列を再現するため天平人の衣装を製作し,五條高校の生徒に着てもらって参加してもらうようにしたり,御霊神社本宮から吉野川を挟む統(すえ)神社から神輿を借りてきて高校生に担いでもらうようにしてから,少しずつ盛り上がりを見せているようだ。

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僕も,半纏を借りて神輿を担がせてもらった。

というより担ぐのはほとんど高校生で,ガンガン煽って盛り上げてきた。

祭りの風景は,他の神社の祭りと変わらない。

みんな楽しそうで,酔っ払って大騒ぎしている。

僕も高校生に紛れて大騒ぎして来た。

毎度の事だが,もちろん祭りに参加している人たちは井上内親王以下御霊大明神の怨念の事などほとんど知らない。

平穏の中で人々は暮らしている。

井上内親王生誕1300年祭,隠された神輿

2017年,井上内親王の生誕1300年祭が行われる。

御霊神社や五條にいる人々は日本史の大きな一ページを彩るべく,色めき立っている。

実は御霊神社の拝殿は江戸時代に建て直されたらしく,宮司によると,その屋根裏に隠された神輿が2基あるらしい。

宮司と,総代は今上がっている統神社の神輿ではなく御霊神社の神輿として1300年祭の日に復活を望んでいる。

封印は解かれるのか,それは伝説のままなのか。

僕は来月,御霊神社の拝殿を覗きに行く。

そこに何があるのか,この目で見てみたい。

日本史は今も更新されている。